「飲み会に行くんですけど、行っても大丈夫ですか」「ハイボールなら太らないって本当ですか」。トレーニングをされている方から、RePro代表の古賀武揚がよくいただく質問です。Podcast「RePro RADIO」第10回では、この疑問に答えるかたちで、アルコールが身体に与える影響を取り上げました。
ポイントは、何を飲むかよりも前に、もっと大事なことがあるという点です。お酒が体の中でどのように処理され、その間に体づくりの何が後回しになるのか。仕組みの順に見ていきます。
アルコールは肝臓で、まず「毒」に変わる
お酒に含まれるアルコールは、肝臓で分解されます。最初に働くのがアルコール脱水素酵素(ADH)で、これによってアルコールはアセトアルデヒドという物質になります。
このアセトアルデヒドは毒性のある物質で、顔が赤くなる、吐き気がする、頭痛がするといった反応のもとになり、二日酔いの原因にもなります。その後、アルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解され、最終的には水や二酸化炭素になって体の外へ排出されていきます。
ここで押さえておきたいのは、体はアルコールの処理を最優先で行うということ。この回の話は、すべてここにつながっていきます。
「お酒で太る」の理由は、カロリーだけではない
アルコールは1gあたり約7kcal。これはお酒の種類を問いません。ただ、古賀が本当の問題として挙げたのは、このカロリーそのものではありませんでした。
体がアルコールを毒と判断して処理している間は、脂質を燃やすことが後回しになるのです。つまり、その場で一緒に食べた唐揚げやポテトのような脂質を多く含む食事は、エネルギーとして使われにくくなり、体に蓄積されやすくなります。
太る原因は、お酒そのものというより、お酒と一緒に食べるものにある。そういう見方ができます。
シメのラーメンは、意思が弱いから食べたくなるのではない
飲んだあとにラーメンやおにぎりが食べたくなる。あの現象にも理由があります。
アルコールは、食欲をコントロールしている脳にも影響します。満腹感を感じにくくなったり、「もっと食べたい」という報酬系が働きやすくなったりする。そこにアルコールの代謝が優先されることが重なり、エネルギー調節にも変化が起こります。一緒に食べたものの代謝が後回しになるため、食べていないのと同じような感覚になってしまうわけです。
こうした要因が重なることで、シメが食べたくなる人が多くなります。意思が弱いのではなく、仕組みとして起こりやすい現象だと古賀は説明しています。だからこそ、体づくりを意識するなら、お酒の種類を変えることよりも、毎回シメを食べる習慣を見直すほうが影響は大きい、というのが現場からの提案です。
筋トレへの影響と、下がってしまう睡眠の質
筋トレをすると、筋肉では筋タンパク質合成という反応が起こります。壊れた筋肉を修復して、以前よりも大きく、強くしようとする働きです。
ところが研究では、大量のアルコールを摂取するとこの筋タンパク質合成がおよそ30%以上低下するという報告があります。さらに脱水も起こりやすくなり、回復効率も下がります。
睡眠も同じです。お酒を飲むと眠くはなります。つらいことがあった日に、寝るためにお酒を入れるという方もいます。ただ、睡眠の質そのものは下がります。眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたり、ノンレム睡眠・レム睡眠のリズムも乱れる。結果として、寝たはずなのに疲れが残るということが起こります。
「アルコールで分解されるような筋肉なら筋肉と言わないのでは」という問いかけに対しても、古賀は「筋タンパク質合成は落ちるので、筋トレをしている日くらいは飲まないほうがベスト」と答えています。あくまで可能性の話としたうえで、飲む人と飲まない人なら、飲まない人のほうが筋肉はつきやすい、という整理です。
本質は「何を飲むか」ではなく「どれだけ飲むか」
「飲むなら何がいいですか、やっぱりハイボールですか」。これもよく聞かれる質問ですが、古賀の答えは「何を飲むかではなく、どれだけアルコールを摂るか」でした。
体が処理しているのは、ビールでも日本酒でもワインでもなく、エタノールです。だから同じアルコール量なら、体への影響は基本的に大きくは変わりません。
では、なぜハイボールがいいと言われるのか。理由は糖質です。ビールや甘い飲料、日本酒などと比べて、ハイボールや焼酎といった蒸留酒は糖質が少ない。ダイエット中は選びやすい、ということです。ただし、糖質ゼロだから飲み放題、ではありません。アルコールの影響そのものは変わらないからです。
飲む日にできる工夫は、80点で十分
飲みに出るとき、家で晩酌するときにできる工夫として挙がったのは、次の4つでした。
- 空腹の状態で飲まない
- お水も一緒に飲む
- タンパク質をしっかり一緒に摂る
- シメを毎回は食べない
そのうえで古賀が繰り返し伝えているのが、100点を目指さなくていい、80点を積み重ねていくという考え方です。友達と乾杯する時間、旅行先で地酒を楽しむ時間まで頑張る必要はない。そこまで我慢して逆にストレスになってしまっては、本末転倒だからです。
まとめ
アルコールは体に入るとアセトアルデヒドという毒性のある物質になり、体はその処理を最優先します。その結果、脂質代謝、筋タンパク質合成、睡眠といった体づくりに必要な働きが、一時的に後回しになる。アルコールが体づくりに与える本質的な影響は、体の優先順位を書き換えてしまうことだと言えます。
ただ、アルコールそのものを悪者にしたいわけではありません。友人と笑いながら飲む時間も、健康の一部です。体の仕組みを理解したうえで、今日は体づくりを優先するのか、大切な人との時間を優先するのか。そうやって自分で選択できることが本当の健康だ、というのが古賀の考えです。
飲むな、ではなく、知ったうえで選ぶ。ReProでは、こうした日常の選び方も含めて、お一人おひとりの体づくりを一緒に考えていきます。
この回の内容は、Podcast「RePro RADIO」第10回でお聴きいただけます。