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「食べなければ痩せる」は本当か?ダイエットの栄養を可視化から整える

「食べなければ痩せる」は本当か?ダイエットの栄養を可視化から整える

Podcast「RePro RADIO」第3回は、前回の運動編に続くダイエットの後編・栄養編です。RePro代表の古賀武揚が、前回に引き続きゲストの時侑也さんを迎えて語り合いました。

ダイエットと聞くと「量を減らしてください」というイメージが、かなり根付いているように思います。摂取量はもちろん大事です。ただ、代表の古賀は「実際はもっと立体的なんです」と話します。前編で触れたとおり、運動・食事・睡眠・ストレス管理がある程度かみ合って、はじめて体は変わっていく。人はつい頑張っている項目に意識が向きますが、実際に体を変えるのは足を引っ張っている項目だったりします。「ダイエットは気合ではなく統合です」という言葉から、今回の話は始まりました。

同じものを食べても、太る人と太らない人がいるのはなぜか

時侑也さんからの「同じものを食べても、太る人と太らない人がいませんか」という質問に、古賀は「科学的に説明できる部分があります」と答えます。ただしそれは、「体質」というひと言で片づけられるほど単純ではない、とも言います。

たとえば血糖値の反応ひとつをとっても、人によって全然違う。筋肉量や睡眠、ストレスといったいろいろな要素で、体の反応は変わってきます。同じご飯を食べてもすぐ眠くなる人もいれば、まったく平気な人もいる。「これを食べたら全員こうなる」という単純なものではなく、その人のコンディションによって反応がかなり変わる、という話でした。

だからこそ古賀が危険だと指摘するのが、「このダイエット方法が最強」という類いの情報です。再現性があるように見えて、たまたまその人にハマっただけのケースが多い。「本当に大事なのは流行を追うことではなく、自分の体の反応を観察することだと思っています」。SNSを見ていると、思い当たる方も多いのではないでしょうか。

ダイエットを始める前に、まずやってほしいのは「可視化」

では、何から始めればいいのか。古賀が「これは絶対にやってほしい」と挙げたのが可視化、つまり見える化です。自分が何を、どれくらい、どんなバランスで食べているのかを把握すること。

ここで時侑也さんが「そんなに食べていない気がするんですよ」と切り出しつつ、昼はラーメンと丼、おやつにケンタッキー、帰宅後にキーマカレーを3杯……と告白して、二人で笑い合う場面もありました。人間の記憶はかなり曖昧で、とくに無意識の摂取——間食のお菓子や飲み物——は抜け落ちやすいと古賀は言います。「食べていないのに痩せない」という人が記録をつけてみると、景色が変わることがあります。

逆に、制限しすぎて必要な栄養が足りていない人もいます。つまり問題は意思の弱さではなく、現状認識とのずれだということです。「地図なしでは目的地に行けないじゃないですか」。体を変えるには、まず現在地を正確に知るところから。それが最初のステップです。

記録は完璧じゃなくていい。まずは「傾向」をつかむ

とはいえ、毎回食べたものを記録するのは続かなそう——という時侑也さんの本音に、古賀は「今はかなり便利な時代になりました」と応じます。AIも普及したいま、使わない手はない。クライアントには、写真を撮るだけで記録できるカロミルなどをよくすすめているそうです。

ポイントは、最初から完璧を目指さないこと。「むしろ最初は、精密な管理よりも傾向をつかむほうが重要です」。人は自分の癖を自覚した瞬間から行動が変わり始めます。「脂質に偏っているな」「タンパク質が少ないな」と数字にすることで、感覚と現実が一致してくる。時侑也さんの言葉を借りれば「感覚の補正」です。

続けていくと、栄養を見る目が育ってくるとも古賀は考えています。コンビニで商品を手に取ったとき、自然と裏の栄養成分表示を見るようになる。「お腹いっぱいにならない割に脂質が多いな」といったことが、感覚的に分かってくる。「短期的に2キロ落とす知識よりも、自分の体を読める感覚のほうが圧倒的に価値があります」。一生使える感覚だ、と時侑也さんも感心していました。

カロリーは大事。ただし「1日」ではなく「1週間」で見る

「結局カロリーなのでは」という問いに、古賀は「本当にその通りで、かなり重要です」と答えます。体脂肪の増減は、最終的にエネルギー収支の影響を受けるからです。ただ、多くの人がここで失敗する。その原因が、1日単位で考えすぎることだと言います。

昨日ラーメンを食べて今日1キロ増えたとしても、脂肪が1キロ増えたわけではありません。脂肪を1キロ増やすには、理論上かなり大きな余剰カロリーが必要です。短期間で増える体重の多くは、水分やグリコーゲンだったりします。「人の体は株価のように日々変動します。見るべきなのは短期の上下ではなく、長期のトレンドなんです」。毎日の体重を気にしすぎないほうがいい、という話でした。

そこで古賀がすすめるのが、カロリー収支を1週間単位で考えることです。平日は食事を整える。週末は友人や家族と食事に行く。それでも1週間全体で見たときに大きく崩れていなければいい。実際、そのほうが続きます。「ダイエットは完璧な1日を積み重ねるゲームではなく、破綻しない習慣を作るゲームなんです」。

極端な制限は短期では数字が動きますが、反動もかなり大きい。体はまず生存を優先するからです。睡眠不足やストレスが強い状態で無理に削ると、食欲系のホルモンも乱れやすくなります。「大事なのは頑張れる方法ではなく、続けられる方法を選ぶことです」。

「何を減らすか」より「何を不足させないか」——タンパク質の話

ダイエットでは「何を減らすか」に意識が向きやすいけれど、「何を不足させないか」も同じくらい大事だと古賀は言います。その筆頭がタンパク質です。筋肉や皮膚、髪、爪まで、体のかなりの部分がタンパク質でできています。

極端に減らすと、脂肪だけでなく必要な組織——つまり筋肉まで削りやすくなります。とくにタンパク質が不足した状態で減量すると、体は省エネ化しやすいそうです。「簡単に言うと、燃費のいい体になっていく。消費を抑えながら生きようとするということです」。最初は痩せても途中から落ちにくくなる背景には、こうした変化もあります。体は想像以上に適応能力が高い、という前編からの話ともつながります。

では、どれくらい摂ればいいのか。活動量や目的にもよるとしたうえで、「一般的なダイエットなら、体重×1.5〜2くらいを目安にすることが多いです」とのことでした。意識しないと意外と届きません。とくに日本人は朝が少なくなりやすく、パンとコーヒーだけで済ませてしまうケースも多い。タンパク質は一気に大量に摂るより、ある程度分けて入れたほうが効率がいいため、朝・昼・夜で分散するだけでもかなり変わるそうです。

糖質も脂質も悪者ではない。「単一栄養素信仰」から離れる

では、タンパク質ばかり食べればいいのかというと、そうではありません。ダイエットでは一つのものを信仰しやすい、と古賀は指摘します。「糖質が悪」「脂質をゼロにしろ」といった考え方を、古賀は自身で単一栄養素信仰と呼んでいるそうです。

糖質は脳や運動の重要なエネルギー源になりますし、脂質はホルモンや細胞膜の材料になります。「PFC——タンパク質・脂質・糖質は、敵を決める話ではなく、役割を理解する話として捉えてもらったほうがいいです」。

だからダイエットは、制限というより設計に近い、というのが古賀の見方です。体に必要なものを整理して、過不足を調整していく感覚。極端に削るのではなく、体がちゃんと働ける状態を作ることが大事だという話でした。

同じカロリーでも体の反応は違い、「次の選択」まで変わる

「カロリーが同じなら何を食べても一緒なのでは」も、古賀がよく受ける質問だそうです。ところが同じカロリーでも、体の反応はけっこう違います。たとえば超加工食品は満腹感が低くなりやすい。柔らかくて早く食べられて、血糖値も動きやすいからです。「ポテチって無限にいけますもんね」という時侑也さんの実感どおりでした。

逆に、タンパク質や食物繊維が多い食事は満腹感が長続きしやすい。同じ500キロカロリーでも、その後の感じ方はかなり変わってきます。

さらに食品は、その後の行動にも影響します。甘いものなどで血糖値が乱高下すると、眠気や集中力の低下、追加の食欲にもつながりやすい。「食事は今の体重だけではなく、次の選択まで作っているんです」。だから「食べるな」ではなく、何をベースにするかのほうが重要だと古賀は言います。極端な制限より、自然と整いやすい環境を作るほうが強い、というわけです。

続かないのは意思の弱さではなく、環境の問題かもしれない

そして、続けられなければ意味がない。「実際ダイエットは、正しい方法より続けられる方法のほうが価値があります」。100点の食事を3週間やって崩れるより、70点を1年続けたほうが体は変わる、というのが古賀の考えです。感情には波があるので、短期のモチベーションは信用しすぎないほうがいい、とも話していました。昨日は「やるぞ」と思っていても、翌朝になると気が乗らない。誰にでもあることです。

そこで効いてくるのが、意思力ではなく仕組みです。家にお菓子を置かない。タンパク質を先に買っておく。疲れていても、それを選択しやすい環境をあらかじめ作っておく。晩酌がやめられないなら、ビールを1本しか冷やしておかない。そんな具体例が挙がりました。

「人は本当に環境に支配される生き物です。逆に言うと、環境を整えてしまえば、そんなに頑張らなくても行動が変わります」。続けられない自分を責めるより、まず続けにくい環境のほうを疑ってほしい。ダイエットは根性論ではない、というのが今回の結論のひとつでした。

まとめ

最後に古賀は、今回の話を3つのステップに整理しています。

  • 可視化:今の自分が何をどれくらい食べているのかを記録し、傾向を知る
  • 摂取カロリーのコントロール:1日単位ではなく1週間単位で、長期のトレンドを見る
  • PFCのバランス:タンパク質は重要。ただし糖質も脂質も悪者ではなく、それぞれ役割がある

体重だけに振り回されるより、自分の体を理解できるようになったほうが、長期的にはかなり強い。ここまで話してきたとおり、人の体には個人差があります。同じ食事でも反応は違いますし、痩せやすさや空腹感、疲れやすさも人それぞれです。ReProでは提携して遺伝子検査を行っており、糖質への反応が出やすいタイプなのか、脂質代謝が苦手なのか、筋肉の特性はどうかといったことを確認できます。遺伝子は生まれてから一生変わらないので、早めに把握しておくのもおすすめだそうです。

「分かってはいるけれど、自分では管理できない」という方に向けては、栄養コンシェルジュによるサポート体制も用意しています。「知識がないからできないというより、日常の中で継続できないという方のほうが多いと思っています。気合で頑張るより、誰かに伴走してもらえる環境を作るほうが現実的です」。軽い内容や質問であれば、InstagramのDMからでも気軽に送ってほしい、とのことでした。

また ReProでは、企業向けの健康セミナーも行っています。社員の方の自律神経を測定したうえで、いま体で何が起きているのかを可視化し、睡眠・ストレス・運動・栄養といった観点からスライドを使ってお伝えする内容です。単なる講座ではなく、コンディションを整えることで仕事のパフォーマンスをどう上げるか、会社全体の底上げにつながるところまで含めてお話ししています。

情報が多い時代だからこそ、どの情報を取り、どの情報を捨てるかという取捨選択も大事になります。今回の回が、その整理のきっかけになればうれしいです。

この回の内容は、Podcast「RePro RADIO」第3回でお聴きいただけます。

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